歯が命の日 8月1日

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マスクを外す機会が増えてきた今、歯の黄ばみや口元が気になる方も多いのではないでしょうか?そこで日本経済新聞社メディアビジネス イベント・企画ユニットは、働く女性に大人気の「歯が命の日」恒例スペシャルセミナーを東京会場及びオンラインにて初のハイブリッド開催(協賛・サンギ)。

「むし歯ゼロ」の料理愛好家 平野レミさんをゲストに迎え、歯科医師とともに食やオーラルケアについて語っていただきました。

高輪歯科 院長

オーラルケアで差がつくエナメル年齢

加藤正治氏

加藤正治氏 (高輪歯科 院長)
1990 年東北大学卒業。歯学博士。98 年、高輪歯科(診療部門)開設と同時にハイドロキシアパタイトによる歯のケアに関する臨床研究を開始。歯科医療従事者を対象にした講演会・セミナー・執筆活動を国内外で積極的に行っている。診療室では一人ひとりのリスクを分析した「未来の健康」を発信している。

「歯を失うと、歯以外に失うものは?」と聞かれたら、何と答えますか。

 昨年、日本歯科医師会が行った調査ではすべての世代で最も多かった回答が「食事の楽しみ」でした。「食べることに対する意欲」が2位。健康な歯があってこそ豊かな食生活をエンジョイできるというわけです。

 歯の状態は、年齢によって少しずつ変化します。みずみずしい10代の歯も、20代になると大人の歯になり、年を重ねるごとに色やむし歯、歯ぐきの下がりなどが気になってきます。この見た目年齢を私は「エナメル年齢」と呼んでいますが、実年齢に比べて若々しい口元を維持するにはどうしたらいいでしょうか。

 歯の構造は、一番表面が「エナメル質」。半透明で97%がハイドロキシアパタイトという成分でできています。内部の層が「象牙質」。本来は乳白色ですが、神経につながっていて、刺激に対する防御反応が働くことで黄色くなっていきます。歯の色が変わってきたと感じるのは、実はエナメル質ではなく、象牙質の色が黄ばんできているのです。

このためエナメル質を間違ったブラッシングで削って薄くしてしまうと、歯がますます黄ばんで見えてしまいます。さらに着色(色)やひび割れ、隙間、へこみ(形)、むし歯、すり減り(表面)などが加わることで、エナメル年齢がどんどん上がっていきます。

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 大切な歯を守っているエナメル質を若々しく保つために必要なのが「ミネラルトリートメント」です。

 通常、食事のたびに歯の表面からリン酸やカルシウムといったミネラルが抜け出ています。その際、唾液中のミネラルが歯にくっついて修復します(再石灰化)。

 ミネラルトリートメントは、この循環が追い付かない部分を、ナノ粒子のハイドロキシアパタイトを使って意図的に供給していくものです。

 スキンケアをイメージしてください。クレンジングで肌の汚れを洗い流して補給成分を加えて封じ込める。これを歯に置き換え、歯の表面をきれいにしてアパタイトを補給すると歯にツヤが戻り、汚れが付着しにくくなります。

 歯科医院のケアも同様で、歯をジェットポリッシャーできれいにし、アパタイトのペーストを丁寧にぬりこんでいきます。歯をみがくのはあくまでオーラルケアの第一段階。日々の地道なケアを積み重ねていくことで、エナメル年齢は数年後、10年後、大きな差になって表れます。