歯が命の日 8月1日

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コロナ禍でマスク生活が続き、口元の表情や歯の黄ばみなどが気になってマスクを外す自信がない方も多いのではないでしょうか。そこで日本経済新聞社メディアビジネス イベント・企画ユニットは、働く女性に大人気の「歯が命の日」恒例スペシャルセミナーを3年ぶりにオンライン開催(協賛・サンギ)。

「美しく年を重ねる。最新のお肌とお口のエイジングケア」をテーマに、歯科医師と人気美容エディターが、オーラルケアやエイジングケアについて分かりやすく解説してくれました。

美容エディター

健康的な白い歯で楽しい人生を演出しよう

松本 千登世氏 (美容エディター)
1964 年鳥取県生まれ。神戸女学院大学卒業後、航空会社の客室乗務員、広告代理店勤務を経て、婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に勤務、編集作業に携わる。その後、講談社「Grazia」編集部で専属エディター&ライターの活動を経て、フリーランスに。美容を中心に、ファッションページなどを幅広く手掛ける。

規堂々とマスクを外すために、今すぐできること。肌も表情もメイクまでも変わる!
〜オーラルケアは美しさを巡らせるスイッチ〜


 下の顔の絵文字アイコンをご覧ください。上が日本、下が欧米のものですが、日本人は口元より目元、欧米人は目より口で感情を表現していることが分かります。実際、私たちはサングラスの人を怖く感じる傾向がありますし、同様に欧米人はマスクを「何を考えているか分からず」怖いと感じるのだそうです。

 そのため日本ではマスクを違和感なく受け入れる人が多いようです。でも、コロナ禍が落ち着き、脱マスクの動きが始まった今も、「早く取りたい」でなく「このままでもいい」と思う人が多いのはなぜでしょうか。

 理由は、顔の下半分を見せるのが恥ずかしいから。若者の間では、パンツを脱ぐのと同じように恥ずかしいという意味で「顔パンツ」という言葉も登場しています。マスクで隠している間に顔の下半分の老いが進んで、見られたくないからマスクを外せない。それが本音のようです。

 マスクのトラブルとして多いのは、肌の乾燥やべたつき、肌荒れ、ニキビ、かゆみ、かぶれ、湿疹など。美容医療の先生によると、マスクをしている時間が長くなって、毛穴が目立つ、張りがなくなった、さらにたるみやシワ、シミといったトラブルに悩む人がすごく多いそうです。

▼顔文字の比較
 欧米(下)に比べ日本人(上)の口元の表情は乏しい

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 本来、頬の筋肉をキュッと上げて笑うことが自然の笑顔をつくります。イキイキした表情になり、実際に筋肉を動かすから若々しい状態が保てる。目だけ出していた生活が顔の下半分の老化を早めてしまったともいえます。

 放ったらかされたのは、歯も同じです。コロナ禍で歯医者さんに行くのが不安で行かないうちに面倒になり、歯のトラブルや口元の老化が進んだという人が、私の周りにも増えています。人と会わない、話さない、笑わない、食事も黙食で時間も短くきちんとかまない。ネガティブな方向にスパイラルが回り、口元にどんどん自信がなくなっていく。

 「美しさは健やかさ」。これが今の美容全般の考え方です。口腔内が健康だと、きちんとかめるし顔もたるみにくい。歯は本来、もっともっと大切にしなければいけないパーツなのです。

 歯の色によって口紅の色や肌の見え方も驚くほど変わります。健康的な白い歯だと似合わないと思っていた口紅が似合ったり、くすんでいた肌が明るく見えたり、メイクが自由になって楽しい人生になっていきます。歯のエイジングケアを毎日積み重ねて、「自分のことが好き」と思える自分を目指してください。

 口元に対してもっと意識を向けたいと思う気持ちはマスク生活が教えてくれた貴重な財産です。マスクを外す日が来たら、堂々とマスクを外して出かけましょう。

高輪歯科 院長

ブラッシングやケア見直し口内環境の改善を

加藤正治氏

加藤正治氏 (高輪歯科 院長)
1990 年東北大学卒業。歯学博士。98 年、高輪歯科( 診療部門)開設と同時にハイドロキシアパタイトによる歯のケアに関する臨床研究を開始。歯科医療従事者を対象にした講演会・セミナー・執筆活動を国内外で積極的に行っている。診療室では一人ひとりのリスクを分析した「未来の健康」を発信している。

いつまでも輝き続けるために 。“ 美と健康” はオーラルケアから!
~ミネラル補給で差がつくエナメル年齢~


 「エナメル年齢」という言葉をご存じですか。歯は一般に白いものと思われていますが、かなり個人差があります。みずみずしい色だった10代の歯も、加齢とともに歯ぐきが下がり根元が見え始め、色も次第に濃くなっていきます。

 歯の構造は、最表層がエナメル質で、97%がハイドロキシアパタイトという成分でできています。色は半透明です。その内側が象牙質で、乳白色のハイドロキシアパタイトが7割、残りの3割が有機質や水分。ここが刺激によって黄色く変化し、エナメル質を通して透けて見えてくるわけです。ただ、手入れしだいで同じ年齢でも見た目の印象はだいぶ変わってきます。

 厚生労働省の歯科疾患実態調査によると、80歳で自分の歯を20本以上保つことを目標とする8020を達成している人が増えています。私の担当する81歳の女性も18年間、3カ月に1回ケアを続けたことで自分の歯が今も28本残っており、その間失った歯は0本です。

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 65歳と80歳の歯の本数を比べると、この15年で平均6本少なくなっており、この下り坂をできるだけゆるやかにするには、エイジングケアをできるだけ早くスタートすることが大切です。

 8020を達成している人の特徴は、まず神経を取っていない天然歯が圧倒的に多いこと。そして歯ぐきが下がらず、根が見えず、歯のすり減りも極端に進んでいないこと。つまり健康なエナメル質に守られているわけです。

 そこでお薦めしたいのがミネラル補給です。歯からは食事のたびにカルシウムやリン酸などのミネラルが溶け出します。通常は溶けた分を唾液中のミネラルが補ってくれるのですが、加齢とともに唾液が減り、再石灰化が追いつかなくなる。むし歯予防成分の薬用ハイドロキシアパタイトも溶け出したミネラルを供給します。ミネラル補給は大切なエネメル質の結晶を守ってくれます。

 歯のエイジングケアは顔のスキンケアのステップと同じで、クレンジング、洗顔フォーム、化粧水、美容液、乳液、保湿クリームのイメージです。歯科医院で行うケアでは、まず歯の汚れを浮かせて落とし、ハイドロキシアパタイトを補給し、最後にフッ素を配合したジェルなどで封じ込めます。これを繰り返すことによりエナメル質が常に修復され、良い状態がキープされます。

 まずは歯科医と相談して自分に合ったエイジングケアをスタートさせてください。その上で、歯みがきをしっかり続けることが基本です。最近は、汚れを薬剤で赤く染め、その3Dデータを歯科医院からスマホに送信。画面でみがき残しを確認しながらより確実なブラッシングが行えます。こうした新しい手法も積極的に活用していきたいですね。

スペシャル対談

マスクを外す前に しっかりオーラルケアを

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2022年8月1日発行
日経新聞「NIKKEI The STYLE」
丸の内キャリア塾スペシャル対談 掲載